露わにされた首はこんなに白かっただろうか。
布団に伏せったせいで表情は窺えない。倦怠感を少しも隠そうとしない辺りは気を許されているのか。
元々存在がイレギュラーなのだから、気を張ることの程でも無いのか。
どうせ彼の事だ、『自分』に対する気遣いなど存在しないのだろう。
それは僕も同じ。
「ねぇ、いつまでそんな格好してるの」
「…何が」
「また襲われたいの?」
「馬鹿も休み休みにしなよ」
顔すら上げず、枕に顔を押し付けて喋る声はくぐもっていて。
耳を澄ませばその声が幽かに嗄ている事が解る。だから顔を上げないことだって。
それで誤魔化しているつもりなのか、それともそんなつもりも無くただ伏せっているだけなのか。
まぁ、どちらでも構いはしないのだけれど。
「そんなに良かった?」
「ッは、あれのどこが?」
「だって声嗄れてるじゃない」
「君が来る前からだっただろう?」
ゆっくりと此方を向いた彼が嗤う。
あぁ、やっぱりむかつく。
喉で笑う彼が別の相手を仄めかしたからだけじゃない。受け入れることに抵抗を覚えない素振りをするからでも、無い。
口元に笑みを浮かべているのに、その目は少しも笑わないから。
憐憫の様な、追慕の様な綯い交ぜにした感情で僕を見るから。
「…ほら、さっさと寝な」
頭に置かれた手は乱暴に髪をかき混ぜるとぱたりと布団に落ちる。
それに続くように聞こえた寝息に溜息を吐いて、布団に潜り込んだ。
(いつか、僕もこうなるのかな)
枕に伏せるように眠る彼を珍しいと思いながら、隙間から見える寝顔を伺う。
見る度に感じる違和感は、自分の寝顔でもあるからだろうということは解っていた。
けれど不思議と、見飽きることはない。
僅かに朱を刷いた目元に、思わず手を伸ばしかけたところで我に返る。
触れてしまえば起きるのは当然。
そうすればこの寝顔も眺めることは敵わなくなる。
それならば、触れたがる指先を押さえつけてしまう方がいい。
(…考えるのは止めよう)
訪れるであろう『いつか』を考え出せばキリが無い。
無理矢理思考を停めて、僕は目を閉じた。
恭さんの所に飛ばされた雲雀(15)でむくひば前提の15ひば25ひばとか、そんなお話。